2020-08-20

イソジンより「味噌汁うがい」という提案

2020.08.04に吉村大阪府知事が行ったイソジン会見に思ったことをメモしておきたい。
会見の内容やそれに対する反響はネットにあふれているのでここでは省略。インサイダーとかは興味ないので触れない。素人なので専門的な事項については誤解や勘違いが含まれるだろう。すべての文字列は2020年8月時点の筆者個人の見解・備忘録であり、断定的な文であっても全ての文末には「知らんけど」が省略されていると思ってほしい。あとつれづれなるままに思いついたメモゆえ内容は冗長、後半は個人的な妄想だけど「ボクが感じたこと」なので書くのは自由だよね。

吉村知事は報道陣からの問いかけに「じゃあ、ほかに取り得る策ってあるんですか?何もしないことがコロナにおいてリスクなんだ、と僕は思ってます。」と逆ギレしていたので、とりあえず筆者なりに「ほかに取り得る策」を考えて(妄想して)みた。

http://www.pref.osaka.lg.jp/kenisomu/povidon/index.html
をみると未だに大阪府民へのポビドンヨードうがい薬によるうがいの要請は取り下げていないようだ。(8/28現在も)


(1)も感染者とは限らないし、診断が確定したら医療の管理下に置かれるだろうから医薬品の使用を主治医ではなく自治体の長から指示されることはありえないと思うので、基本的に非感染者に対する要請と理解していいだろう。

つまりは感染していない人に「イソジンでどんどんうがいをし続けておいてね。8/20過ぎても継続してね。」と要請しているわけだ。非感染者を対象にするということは感染予防を意図していることになるだろう。

そもそも大阪府下の(3)医療介護従事者の方々はこの要請を受け入れて頻回にイソジンうがいを実行しているのだろうか?

弁護士は言葉の扱いに厳密なものと思っていたが「集中的に」という言葉は意味不明だ。
8/20以前と8/21以降とで何をどう変えてくれと要請しているのかちょっとよくわからない。

目次

  • 羽曳野の倫理委員会
  • 既往の研究あるのになんで?
  • うがいでも色々
  • 殺菌除菌至上主義の愚
  • トレードオフ
  • 個別にケアできるのか?
  • 行政の姿勢
  • そもそも会見の目的は?
  • リーダー像
  • イソジン固有の問題
  • 医師でも間違うことがある
  • コロナウイルスを破壊できるとしても
  • ところで、味噌のこと
  • もう少し詳しく
  • うがいという行為について
  • 8/22のTweet



羽曳野の倫理委員会


研究が行われたのは「地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター」。
http://www.ra.opho.jp/personnel/2312/
によると令和2年に入ってからの倫理委員会の開催は5月と7月、この研究は5月に条件付き承認された田中敏郎副院長の分ではないかと想像する。7/2に条件付き承認された松山晃文次世代創薬創生センター長分もあるが、これの結果を今回発表したのだとするとあまりに拙速だし。まぁこれは部外者には確認しようがないが...。


既往の研究あるのになんで?

8/4の会見では「秘密裏に進めてきた」と得意げな発言があったが、はるか以前2018年に小林製薬が学会誌に出した研究がWebサイトで一般向けにも公開されている。

https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2018/180703_01/index.html
(複数種ウイルス検体)X(複数種うがい薬)での実験結果を見るとCPCやアズレンのうがい薬でもコロナウイルス不活化の結果が出ている。その研究においてはヨードではコロナウイルスは不活化したがポビドンヨードでは不活化しなかったという今回と逆の結果も出ている。濃度や検体の株など条件も明記されている。

もちろん新型コロナ以前だしウイルス感染済みのヒト患者を対象とした臨床試験ではないが、感染を防ぐ実験ではなく存在するウイルスを不活化できるか調べる実験なので、ウイルスの膜を破壊するという作用機序から考えると旧型コロナでも似た傾向になることは予想される。このような既往の研究がある中でなぜポビドンヨードだけを取り上げたのか、対照群がなぜ「うがいをしない患者」だけなのか謎すぎる。松山晃文氏って科学者として大丈夫なのだろうか?被検者には1日4回うがいさせておいて、会見の翌日8/5にはうがいは1日1回くらいがいいとか水うがいに賛成とか発言していてわけわからない。


うがいといっても色々


個人的には水うがいさえやり方によってはよくないかもと感じている。
●冷たい水でやるかぬるま湯かといった温度の違い
●浸透圧を調整した生理食塩水でやるか水道水でやるか?
●口腔内だけ含んでくちゅくちゅするだけか、 喉の奥まで含んでガラガラやるか?
●例えば1時間おきに一口10ccのぬるま湯を5回飲むとかでのどを潤すだけではどうか?

一口にうがいといっても上記のような点を考慮しなければ評価ができないのではなかろうか。うがいの効果が粘膜の乾燥防止によって成し遂げられていたと仮定すると少量の水を頻回に飲むことでもいいかもしれないし、温度に敏感なのどへの影響を考えて冷たい水を避けたほうがいいかもしれないし、のどの奥までガラガラやるのはせっかく安定している粘膜組織や常在菌叢を乱してよくないのかもしれない。口腔内の常在菌も上向きうがいで誤嚥して肺に入ったりすると良くない可能性もある。

水うがいだけとってもいろいろな条件を考慮する必要があり、これを論文にできるよう被検者にうがいのやり方を的確に説明してきちんと実行させ、研究をまとめるのはなかなかむずかしそうな気がする。ということは医学研究としては追求しきれていないかもしれない。


殺菌除菌至上主義の愚


肉眼で見えていないだけで我々生き物はものすごい数の微生物に囲まれて暮らしている。自分の体内にも自身の細胞の数をはるかに超える数の細菌を住まわせている。世の中には除菌抗菌殺菌を素晴らしいことのように宣伝する風潮があるがいかがなものかと思う。

例えば皮膚、これも精巧に作られた生体防御機構。もうこれだけで一つの宇宙といってもいいくらい。最外部は死んだ自分の細胞で覆い汗腺や皮脂腺などから潤いを補給、これを餌にする常在菌(表皮ブドウ球菌)をびっしり住まわせ彼らの代謝物でPHを整え他の細菌の定着や侵入を抑えている。

自分の細胞にしても汗や皮脂にしても身体の内から外に向かって湧き上がり、最後は自分で死んで脱落する内から外に向かう流れによって自動更新している。異物があったら一緒に脱落するということ。他の菌がたまたま付着してもPHが合わなかったり、常在菌に取られて餌が少ないため定着できない。このような最外部のバリアを突破しないと悪い菌やウイルスは体内に侵入できない。

免疫以前にもこのような仕組みで我々の身体は病原性微生物から守られている。石鹸手洗いをして表面の皮脂を洗い落としたとしても汗腺などに潜んだ常在菌はすぐに出てきて増殖するし、汗や皮脂は常に補給されそれまでの環境が修復されるだろう。

だが自然な修復速度を超える頻度・強度で界面活性剤による洗浄や薬品による消毒を繰り返したらどうなるか? 水分や皮脂の量が適正な時は成立していた防御組織の構造が物理的に破壊され皮脂も失われて乾燥、バリアは隙だらけとなる。さらにバリアを満たしていた常在菌が一旦死滅するので悪い菌にも平等に定着&繁殖のチャンスが生まれる。組織は傷ついて健全な皮膚よりも内部に侵入しやすくなっているので被害はより大きくなる。化粧や洗顔のし過ぎで肌が荒れるのはそういうことだろう。人間は愚かな生き物である。浅知恵で行ったことが意図に反する事態を引き起こす場合もあるのだ。

同じことが口腔・咽喉にも言えるのではないか。 消化管と同様に身体の内と外を分けるこれらの境界は必要なものを取り込み有害なものはブロックするという難しい役割を持っていて皮膚よりもさらに複雑である。皮膚と大きく異なるのは粘膜の働き。体内から常時分泌される粘液は体細胞を覆って外部と細胞の直接の接触を防止する。そして保護するだけでなくおそらくそこに住む常在菌の餌にもなっているだろう。健全な状態であれば吸入したほこりや微生物はまずここに捉えられ、線毛で入口に向かって押し出され痰で排出したり食道に入って消化されたりする。口腔や咽喉の粘膜には自然免疫も備わっていて多くの細菌やウイルスはここで退治または活動制限され通常は体内に侵入したり感染に至らない。粘液の構造や機能はあまりにも複雑でいまだ完全には解明されていないがきわめて重要な機構が潜んでいるような気がする。天津飯にかかっている餡とは格が違うのだ。

理化学研究所「NMRで天然ムチンの複雑で独自な立体構造の解析に成功」(図解あり)


https://www.riken.jp/press/2009/20090415_2/index.html

ムチングリカンは、感染における緑膿菌の毒性を弱める
https://www.nature.com/articles/s41564-019-0581-8


トレードオフ


イソジンなどのヨード剤が細菌やウイルスを不活化できるのは細胞膜やエンベロープを破壊する強い働きがあるからで、この能力は同時に我々の生体細胞も傷つけることになる。生体細胞だけでなく生体組織を守っている粘液も薬剤によってその構造や機能が破壊される可能性がある。それでも医薬品と認められるのは目的・効果と副作用とのトレードオフで効果の方が大きいことがあると証明される場合だけで、その前提は適応と用法 ・ 用量である。

医薬品は作用と副作用のせめぎあいの中、薬機法や各種通達で強い規制をかけ厳格な手順にのっとって事故が無いよう慎重に承認されている。医薬品成分を含んだうがい薬が一般向けに販売されているのもあくまで健康な人が使うためであってコロナウイルス患者に対して治療のために使うというのは無条件では許されないだろう。健康な人が用法・用量を守って短期間使うのは問題ないだろうが、適応が違うと用法・用量も異なるだろうし、厳格な研究の結果「新型コロナウイルス患者には禁忌」という結論が出てくるかもしれない。



個別にケアできるのか?


だから院内で倫理委員会の承認を得ることが必要になっているのだろう。当然個別の患者ごとに同意書をとって研究に協力してもらっているはずである。たかがうがい薬でも医薬品成分が入っている以上それだけの注意を払ってやるのが当然だし対象患者には個別に体調チェックを行っているだろう。

翻って吉村大阪府知事の会見では多数の大阪府民に対して「 8/20まで 集中的に」と強くお願いしてしまっている。羽曳野でのうがいの回数は1日4回と会見で説明されていたので「具体的な数字が入っていれば実際の行動につながりやすい」という吉村理論に基づけばこの会見をテレビで見た大阪府民や全国ネットで見た素直で善良な視聴者は自分が対象外であってもさっそく行動に移してしまうだろう。でもこれって目的(ある意味コロナを減らす)薬品(ポビドンヨード)と用法(1日4回今日から8/20まで)を指定して指示しているのでこれは「ある意味」処方してしまっていることになるのではないか?医師免許ないのに?

だが、吉村知事を信じて実行した視聴者を個別に責任もってケアする人はどこにもいない。体の働きを制御するホルモンをつかさどる器官に医薬品で影響を与えるというのはかなりリスクの高い行為である。「本人はまだ気づいていないけど甲状腺機能障害を持っている人」もいるかもしれない。希釈濃度を間違えて大量摂取する人も出るかもしれない。濃度は正しくても症状もないのに長期頻回連用が人体によくないのは常識だろう。知識も経験も資格もなくこれを全国ネットのTV放送に乗せて広く大衆に推奨し、結果は大衆の自己責任というのはきわめて恐ろしいことで、自治体の首長がやっていいことではないと思う。

現時点ではコロナウイルス感染症に関してイソジンは適応外使用(Off-label use)でありその有効性・安全性が確認されていない以上薦められることではないだろう。

Wikipediaで「適応外使用」を見てみると
「医薬品を使用して副作用が生じた際に、医薬品副作用被害救済制度があるが、これは用法用量また諸注意を守った適正な使用においてのみ対象となるため、原則的に適応外使用は対象外である。」とある。吉村知事のイソジン作戦に賛同して健康被害を受けた場合、国による救済は望めないということらしい。


行政の姿勢

大阪府のWebサイトは8/4会見の予告というか概要を提示しただけで、府民に対するこの呼びかけの目的、適応、対象者、用法、用量、使用上の注意などを丁寧に述べた部分は無かった。広く呼び掛けているのに説明はないんか~い!
http://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=38922

代表連絡先 健康医療部  健康医療総務課  企画グループ
ダイヤルイン番号:06-6944-7625
メールアドレス:kenisomu@sbox.pref.osaka.lg.jp
提供日 2020年8月4日
提供時間 10時0分

内容
 大阪府立病院機構大阪はびきの医療センターによる新型コロナウイルス感染症患者に関する研究について、これまでも大阪府・大阪市において研究協力を行ってきておりましたが、このたび、研究結果が取りまとめられるとともに、引き続き協力を行っていくこととなりました。
つきましては、この度、大阪はびきの医療センターによる研究概要及び府・市による研究協力の内容について、大阪府知事・大阪市長・大阪府立病院機構大阪はびきの医療センターによる共同記者会見を以下のとおり開催しますので、お知らせします。
 
 <記者会見概要>
 (1)日時  令和2年8月4日(火曜日)13時15分からの「(仮称)感染拡大防止に向けた営業時間短縮協力金」に係る
         大阪府知事・大阪市長共同記者会見の終了後
 (2)場所  大阪府庁 大阪府公館 大サロン(大阪市中央区大手前二丁目1-46)
 (3)出席予定者
  大阪府 知事 吉村 洋文
  大阪市 市長 松井 一郎
  地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター 院長 山口 誓司
  同    次世代創薬創生センター長 松山 晃文

   ※一般の方は傍聴できません。

 <研究概要に関する問い合わせ先>
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター 事務局(総務・人事グループ)
電話番号:072(957)2121
資料提供ID 38922


なお、8/4会見へ沸き起こった批判を受けて開いた8/5の釈明?会見についてはサイトに文字起こしをしてまで公開されている。
http://www.pref.osaka.lg.jp/koho/kaiken2/2kaiken.html

が、問題となった8/4の衝撃会見については文字起こしは一切無いようだ。ないんか~い!

冒頭のURL(8/5分)で公開されている発表資料もほんとに概要だけで中身が全然具体的でなく、批判されるとまずいから色々ぼかして書いてある感じの代物だ。

「誤解がある」というなら新旧並べて比較しながら説明したほうが「視聴者がなぜ、どこを誤解したか」わかりやすいので、愚かな視聴者の間違いを正すのに好都合だろうに。今のままでは隠ぺいと言われて立場がより悪くなる気がする。 8/4の会見では大阪府民に「皆様もよく知っているうがい薬を使うことによって、コロナの患者さん、コロナがある意味減っていく、コロナに効くのではないかという研究が出ました」「8月20日まで集中的にポビドンヨードうがい薬でうがいを励行して貰いたいと思います」とはっきり言ってしまっているのだ。

だが、先述したように「病原体がいるなら消毒すればいいんや」というのは浅はかな考えだ。生物の世界は予想以上に複雑である。そもそもこの実験には対照群の設定がちゃんとできていないなど疑問だらけだ。


そもそも会見の目的は?


8/4会見の吉村大阪府知事の呼びかけは感染者に向けたものなのか、非感染者に向けたものなのかはっきりしない。「府民の皆さん」と言っているので両方含めてとも取れる。

知らないうちに感染していることを前提に他人に移さないように口腔内殺菌しようぜともとれるし、移されそうになっても一日中殺菌うがいを続けていれば大丈夫という意味合い、つまり予防をうたっているとも取れる発言だった。法律家にしては言葉の使い方がとても曖昧で誤解を受けやすい発言はそれだけでも害悪であろう。「ある意味」ってどの意味?はっきり言うだけの根拠も確信もない心情がついもれ出てしまったのが「ある意味」という表現なのか?まあ、好意的に受け取るなら意味のない単なる口癖だろう。だとしても口癖をつい挟んでしまうというのは勢いで喋っていることを意味しているのではないか。協力要請を含んだ重要な発表であれば事前に原稿を練ってWebサイトやニュースリリースも同時に行うべきだろう。安全性が担保されていない行為を独断で広く広報するのはやはりまずかった。手前味噌くんが味噌をつけたと言える。



リーダー像


「本当のリーダー、ヒーローは目立たぬ場所で誰の称賛も浴びずに黙々と仕事をしているものだ。」という記事がある。
https://hbol.jp/218033

自治体の首長というのは住民の幸せを第一に考え地道に仕事をこなす実務型の人が望ましいと思う。パフォーマンスのため独断で大規模治験を発案し全国ネットのテレビ番組で参加を要請するような人はちょっとふさわしくないだろう。たった一日で理由もなく言うことをころっと変える点も信用できない。逆に変えるべき理由があってもかたくなに言うことやることを変えず、議事録を隠蔽改竄破棄する為政者もだめだと思うけど...。あと、小池東京都知事のようにそもそも議事録を作らないというのもさらに悪質だろう。



イソジン固有の問題


目的に合わない結果は「副作用」と呼ばれるが全人類に対して副作用を持たない物質はほとんど存在しないのではないか。たとえばヒトに必要と思われる「水」であっても毎食後5リットルを1日3回という用法用量が処方されたら患者はたぶん病気になるか死んでしまうだろう。

医薬品が医薬品たるゆえんは一般的に精製され中身の成分と量が分かった物質だけで構成されていること、適応・用法・用量が治験に基づいて承認され副作用も事前に明らかにされていることだろう。適応・用法・用量を守る限り副作用よりも作用の方が大きいので副作用の危険を理解しつつも納得の上でそれを受け入れ身体に入れるということだ。当然医薬品の使用においてはプロである医師の判断が必要である。

ドラッグストアにイソジン買いに行かせたら売り切れだったので代わりに「いそじまん」を買ってきて「ま」抜けだなぁというネタまで作られているようだが、海苔の佃煮はヨウ素を多く含むので妊婦や甲状腺障害がある人はどちらにしても要注意となる場合がある。

甲状腺専門医のサイト
https://www.nagasaki-clinic.com/iodo/

イソジンなどは今回目的としている殺菌作用とは別にヨウ素によって甲状腺に影響を与えるという目的外の薬理作用を持つことが特に問題となる。ホルモンはごく微量で人体に影響を及ぼすのでホルモンの分泌をつかさどる器官に影響を与える薬品の使用は極めて慎重になる必要がある。同じうがい用の薬品ならアズレンやCPCの製品を推すべきだったろう。


医師でも間違うことがある


BCG東京株による免疫が新型コロナのFactor-Xなのかもと噂されたりしている。
それならばと大人がBCGを医療機関に頼んだらしく事故が発生していたらしい。

「新型コロナ予防しようと…BCGワクチン接種ミス 成人に“絶対禁止”の皮下注射」
https://mainichi.jp/articles/20200410/k00/00m/040/275000c

製造元の日本ビーシージー製造のサイトで確認すると
https://www.bcg.gr.jp/medical/bcg1.html

添付文書には「皮下注射は絶対ダメ」と明記してある。記事には「もともとBCGを扱っていない医療機関だったため、誤った可能性がある。」と書いてあるが、普段使ってないならなおさら説明書は読むだろうし、アンプルと一緒に経皮注射用の例の9本針(ディスポBCG接種用管針)もセットなのだから間違えようがない気もするのにどうしたことだろうと思う。

このように医療機関でさえとんでもないミスを起こすことがある。ましてテレビ視聴者という素人の大集団に向かって医薬品を使用するよう指示を出すことがどれほど危険なことか、自分が首長を務める自治体の住民に対して行うべきではないことは確かだろう。

全国ネットのテレビはさらに影響が大きい。弁護士とは思えない浅はかさである。と思っていたら吉村氏は武富士のスラップ訴訟で武富士側についていた人物らしい。このとき武富士側をコテンパンにやっつけたのが先般東京都知事選に立候補して小池百合子に惜しくも敗れた宇都宮健児氏とのこと。同じ弁護士でも随分違うものだ。


コロナウイルスを破壊できるとしても


羽曳野で今回の研究に協力したのは感染が確定し入院している患者と聞く。ということはウイルスが既に体内に侵入し、体細胞の中で増殖し、その体細胞が破壊されて複製したウイルスが体外に排出されつつ同時に感染時の何らかの症状が発現している人ということになる。 ポビドンヨードは感染した体細胞を治療するものではないので、この状態の人に介入して得られる結果は治療成果ではなく唾液検体をPCR検査した際の結果を変えることだけであり、「ある意味コロナが減る」ことはないだろう。 松山晃文次世代創薬創生センター長は一体何を調べたかったのか?実験のデザインは妥当なものだったのか?統計的に有意差が出たのか?いろいろ疑問である。イソジンそっくりの色、匂い、味の液体を作るのは難しそうなので、二重盲検法はなかなか難しそうだ。CPCやアズレンのうがい薬と比較しない理由は何なのか?

PCR検査が陽性と出ることとコロナウイルスに感染することはまったく別の状態である。近くに感染者がいてウイルス飛沫が飛び交う環境にいて吸い込んだとしても粘膜に付着しているだけで体細胞のACE2受容体に結合して体内に侵入するまでには至らず、そこに存在しているだけかもしれない。先述のように粘液はそれだけで微生物の活動を抑制している可能性もある。自然免疫によって抑えられ、体内に侵入を果たしていない状態もあるはずだが、これをぬぐい取ってPCRで増殖させればコロナウイルス遺伝子のかけらが検出されて陽性判定が出ることもあるかもしれない。(素人なのでよくわからないが...PCR検査が高感度であるほど付着状態と感染状態の区別は難しくなるのではないかと思う。検体中のウイルス量を定量的に測定できる検出方法であれば単なる付着と感染増速中の区別はつくのかもしれないが。世間で実施されているPCR検査って定量PCRなのだろうか?)



ところで、味噌のこと (ここから妄想の始まり)


ネットを見ていると高橋砂織氏(https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000010142184/)の論文「味噌の持つ高血圧抑制物質について」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/110/9/110_636/_pdf/-char/ja
を見つけた。これは非常に興味深い。哺乳類にとって重要な血圧調整をつかさどる代謝の仕組みレニン・アンギオテンシン系(RAS)に着目し、この系を構成する関連酵素の阻害物質を食品から探索するというものである。著者らは最近ACE2の高感度蛍光消光基質を開発したことで阻害活性を測定できるようになったとのことである。この研究では味噌に含まれるACE2阻害物質がニコチアナミンであることまで同定している。

レニン・アンギオテンシン系図解例(Wikipediaより)


SARS流行をきっかけとして研究が進みコロナウイルスが細胞に侵入する際の入り口になるのが細胞表面に発現したACE2(Angiotensin-converting enzyme 2、アンジオテンシン変換酵素II)であることが知られている。
https://tech.sina.com.cn/roll/2020-01-21/doc-iihnzhha3999216.shtml
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32142651/

結合するところの動画シミュレーション
https://www.deshawresearch.com/downloads/download_trajectory_sarscov2.cgi/

コロナウイルスの細胞侵入機構:病原性発現との関連
http://jsv.umin.jp/journal/v56-2pdf/virus56-2_165-172.pdf

新型コロナウイルス感染初期のウイルス侵入過程を阻止、効率的感染阻害の可能性がある薬剤を同定
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00060.html
ではコロナウイルスの感染機序が図解付きでわかりやすく説明されている。発表の趣旨は以下の通り。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスSARS-CoV-2の感染の最初の段階であるウイルス外膜と、感染する細胞の細胞膜との融合を阻止することで、ウイルスの侵入過程を効率的に阻止する可能性がある薬剤としてナファモスタット(Nafamostat mesylate、商品名フサン)を同定した。

本年3月初めにドイツのグループはナファモスタットの類似の薬剤であるカモスタット(Camostat mesylate、商品名フォイパン)のSARS-CoV-2に対する有効性を発表したが(参考文献←省略)、カモスタットと比較してナファモスタットは10 分の1以下の低濃度でウイルスの侵入過程を阻止した。

ナファモスタット、カモスタットともに急性膵炎などの治療薬剤として本邦で開発され、すでに国内で長年にわたって処方されてきた薬剤である。安全性については十分な臨床データが蓄積されており、速やかに臨床治験を行うことが可能である。


このようにウイルスにはそれぞれの感染機序があるので、ウイルスの種類によって感染部位や様態が異なっている。感染の段階も一つではないのでどの段階を阻止するかによって対応する薬剤も異なってくることだろう。ACE2に結合する第一段階、ウイルス膜を融合させる第二段階のうち「フサン」は第二段階を阻止することで体内の感染の広がりを抑えるということらしい。

これに対して第一段階のACE2受容体にウイルスが結合するのを阻止するという戦略も考えられる。感染しやすい部位に多く存在するACE2受容体を先に塞いでしまうということだ。これに上で紹介した高橋砂織氏らの味噌の研究を適用できないかというところから筆者の妄想が広がったのである。もちろん臨床試験が行われたわけではないのでその効果は完全に未知数だ。粘液で守られた体細胞上のACE2に対する阻害活性の定量的評価がなければ感染予防効果を予測することは不可能だ。だからこれは個人の妄想・夢想である。イソジンがコロナ(個体内での広がり、集団での感染の広がり)を減らすというのもまあこれと同じレベルなので臨床的に証明されるまではどちらも単なる妄想という扱いでいいと思う。

コロナウイルスの場合、感染する部位として口腔・喉頭・肺・心臓・精巣などがあげられており、感染に伴ってこれらの部位の細胞の一部が破壊され後遺症が残る場合もあるようだ。若者は症状が軽いからと侮っていれば心筋症の後遺症に苦しむことになるかもしれないので要注意である。また、感染した乳幼児(口腔内のACE2未発達)では呼吸器系ではなく消化器系だけに感染した症例も報告されているようだ。とにかく感染を防止するのがいちばん大切だろう。

世界ではワクチンだけでなくACE2阻害物質の探索も行われていることだろう。当然製薬会社は治療薬として製品化し利益を出せるようにしなければならないが、効果が認められたとしても治療薬として認められるためには様々な動物実験を経たうえで治験に臨まなければならないし、安全性有効性を担保するのは困難で時間のかかることだ。

だがもし、従来から人が食品として摂取しているものにその効果が認められたとしたらどうだろう。一番重要な点は長い年月をかけて人体への安全性が確認済みであるということだ。

高橋砂織氏らの研究では銘柄や熟成の時期により程度の差はあるもののACE2阻害活性は共通に認められているようで、コロナウイルスの感染予防や重症化予防の効果を持っている可能性があるかもしれない。

食品として口に入れるものなので全身の任意の場所に届けるというわけには行かないが、口腔内をすすいで成分を行き渡らせることで初期の口腔内の感染の広がりを抑えたり、感染予防効果が出る可能性は考えられないだろうか?もちろんこれは筆者個人の見解というか素人の思いつきに過ぎない。もう一度言うがこれは筆者個人の妄想である。味噌製造会社の株価は高騰しないだろう。どの味噌のどの熟成度のものがACE2阻害活性にすぐれているか、どの程度の頻度や濃度で摂取すれば効果が出るかなど何も調べらていないし、そもそも粘液に阻止されて全く効果がないかもしれない。

ニコチアナミン(Wikipediaより)

ACE2ではなくACEを用いた研究だが日本食品科学工学会誌に次のような発表がある。
「豆類のニコチアナミン含量とアンジオテンシンI変換酵素阻害活性」
伊澤 華子,吉田 望,白貝 紀江,青柳 康夫
では大豆以外の各種の豆類から熱水抽出した液のニコチアナミン量、ウサギ肺由来ACEの阻害活性を比較していて興味深い。味噌以外にも可能性のある食品が出てくるのかもしれない。


吉村大阪府知事のイソジン推しとの比較


筆者の思いつきと吉村氏の思いつきを比較してみよう。

(1)口腔や咽喉にウイルスが入ってきた時点でないと意味のないうがい薬に比べて、ウイルスが入ってくる前からACE2を阻害する可能性があることから、非感染者が実行することで予防に役立つかもしれない。

(2)既に感染している患者の場合、感染の連鎖が起こっている状況ではウイルスは増殖して体外(口腔内)に排出され続けておりその数は膨大なもの。唾液中のウイルスをイソジンで不活化したとしても全ては無理であり、残ったウイルスが別の細胞に取り付けば体内での感染は広がり続ける。体外に放出された全てのウイルスを殺菌で排除したとしても、既に感染した細胞からはウイルスが放出し続けているので、うがいの効果が薄れた頃には出てきたウイルスは別の細胞に感染する。もちろんウイルス負荷を下げる効果はあるだろうが他の細胞への感染を完全に止める効果はない。それに対してACE2を阻害できた場合ウイルスが存在しても感染できないので口腔内での感染の広がりを阻止できる可能性がある。(もちろん臨床でのACE2阻害率と持続時間などの定量的な評価が必要だが。)

(3)口腔や咽喉の生体防御機構を侵襲しない。

(4)ヨウ素など目的外の薬理作用を及ぼさない。

(5)食品なので用法用量を間違えにくい。イソジンなどは希釈濃度など間違いが起こる可能性がある。

(6)古来より利用されている食品なので安全性が保証されている。

などの点でイソジンうがいよりはるかに優れた予防法(および重症化予防法)になる可能性(あくまでも可能性)があるのではないか。大衆に呼び掛けて大規模に社会実験をするならこちらの方がよいのではなかろうか。


もう少し詳しく


自然界の真理は深遠である。方向の異なる2つの作用を拮抗させることでバランスや安定を保っている場合がある。人間は浅はかな生き物なので机上で思いついたことを実行してもそのとおりになるとは限らない。むしろ思惑と逆の結果を招くこともある。自然界の仕組みに関する無知を自覚しながら科学的な事実を謙虚に学ばなければならないと思う。

またここで述べているのは口腔内だけの話なので鼻や喉に直接取り付いたウイルスに対しては無力だろう。味噌汁で鼻うがいをすれば効果がある可能性も否定はできないが。嘉門達夫の「鼻から牛乳」を思い出すね。

実験室で味噌の成分にACE2阻害活性が見られたからといって、ヒトの口腔内うがいで同じ効果が出るかどうかは全く未知数である。粘膜環境は複雑でありニコチアナミンがACE2に結合するのも妨げられてしまうかもしれない。生物の世界はそれほど単純ではないしまだまだ解明されていないことも多いだろう。それでも、いやそれだからこそ調べて見る価値はあるのではないだろうか?味噌汁を飲むことで健康を害すことがないことは証明済みなのだから。

成分が特定されたからと言って精製したその成分だけをまとめて沢山摂取というのはダメで、臨床研究で最適値が明らかにされるまでは大昔から食事で摂取しているのと同様な成分と量にとどめることが重要である。

論文に大豆の熱水抽出物とあるからと言って大豆粉やおからパウダーなどを大量摂取するのはよくないだろう。細菌により大豆たんぱくが分解されてできる物質が重要だし、巨大なタンパク質分子のままだと起きるアレルギーも麹菌で分解されることで防げている可能性がある。長年かけて確立された摂取法が一番安全だ。

普通の人は普段一日に飲む程度の量を水筒やペットボトルで持ち歩くのはどうだろう。だし入り味噌をお湯でといただけの物でもおいしくいただける。

味噌汁の量をたくさん飲むことに意味はないので少量で優しくゆすいで口腔内に行き渡らせるくらいにして、そのまま飲んでしまえばいいだろう。回数を分けてちびちび飲むだけでもいいかもしれない。

当然、塩分摂取制限中の人は総量で過剰にならないようにするべきだし、飲まずに吐き出すのでも効果は変わらないだろう。

味噌をそのまま舐めて摂取するのと湯で溶いた後に摂取するので違いが出るかどうか、一旦加熱することで有効成分が抽出されるのかそれとも常温のままでも同じ成分量が摂取できるのかの確認も必要だろう。

常温でも同じ効果が得られるなら、例えば適量を取って歯磨きに使い適当な濃度(味)になったくらいで飲み込んでしまうという手も考えられる。というか、実際だし入り味噌でブラッシングしてみたところなかなかいい感じでそのままおいしく飲み込めたので、これからお出かけ前には実行しようと思っている。

うがいについてはちょっと懐疑的で、あまり喉の奥まで入れてガラガラやると粘膜環境が痛む気がするし、上を向いて激しくやるのはむせたりしぶきが肺に入ったりしそうなので誤嚥性肺炎につながってよくない気がする。

乾燥は粘膜の環境を痛めるので潤いを保っておくことが重要という点を意識したい。

そもそも味噌汁うがいを提案する前に、回復者も含む既存の感染者に対して味噌汁の摂取状況をアンケート調査し相関分析をしてみることが望ましいだろう。

有意な相関が認められなければ味噌効果はないかもしれないが、それだけで仮説を否定できるものでもなく、濃度や摂取方法が変われば異なる結果が出る可能性もある。食事の際に飲むだけと、同量を一日かけて少量ずつ頻回に飲むのとでは効果が違うかもしれない。また味噌を少量取ってなめるという摂取法も考えられる。相関がなかった場合も摂取方法を変えて調べる価値はありそう。

もし味噌に効果が認められたなら味噌玉にしておやつ代わりに舐めるのもありかもしれない。キャンディーの中に味噌を仕込んだ味噌汁ボンボンとか味噌を練り込んだガムとかも提案されるかもしれない。

食事の際は味噌汁を加える。外食・会食の際もおしゃべりを始める前にまず味噌汁を含んでクチュクチュやってからとなるかもしれない。ウイルス飛沫を浴びた食品を口に入れる前に実行するというのがポイントだ。

相関が認められたなら医療の専門家にきちんとした検討を依頼するとともに、当面の措置として普通の食事方法を基本として、従来味噌汁を飲む習慣があまりない人にも外出前や人に会う前には味噌汁を口に含んですすいだのちに飲むという習慣を推奨するなどいろいろな戦略が立案できるだろう。



うがいという行為について

筆者個人としては「うがい」については今ひとつ有効性(+無害であること)を確信できていない。
うがいの効果があるとするなら乾燥防止、口腔内洗浄の2点が考えられる。うがいの効果を研究テーマにするなら対照群に水うがいや生理食塩水うがいを設定するだけでなく、単に水を少量ずつ飲む行為とも比較する必要があるだろう。

上述のような粘膜組織や粘液の働きは乾燥すると衰えそうな気がするので、口腔内や咽喉を乾燥させないことの大切さはわかる。乾燥防止で水分を少量摂るのは良さそうに思えるが、ガラガラ激しくうがいをするのは喉の粘膜組織の環境を乱して傷つけてしまうことにつながらないだろうか?やり方次第で逆効果になる恐れはないのか?

激しいうがいをする原始人は居なかったはずで、それでも人類が生き延びてきたということは人類の生存にとってうがいは必須の行為ではないということだ。必要がなければやらないほうが良い可能性もある。

同じことはマスクにも言える。全人類が何世代にもわたってマスクを着用し続けることになれば、それはすなわち表現型的にマスクなしでは生きていけない生き物に成り下がってしまうことを意味する。

世代をまたがなくても、太古の昔から続けてきたマスクなし生活に適応した口腔・咽喉・呼吸器に対して悪影響が今後出てくる可能性も考えておかなければならないだろう。

2020.08.20

P.S.大阪府下の各水道局は下水中のイソジン濃度を測定してるだろうか?ちょっと興味ある。

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追記 2020.08.27


8/22に出たこのTweetは何を訴えたいのだろう。

この研究は臨床研究ではない。「in vitro」だし。8/4会見でヒト患者に適用して研究したのは世界初と豪語してなかったっけ。批判されて「だって僕ちゃん悪くないもん」的に出してきたのがこれって言い訳にもなってない。「こんなんでましたけど。」と彼にアドバイスしたブレーンは責められるべきだろう。まさか、泉アツノを召喚したのか???

準備段階でこの結果が出たから臨床でいい結果が出る可能性があるよというところまでの論文なので単に仮説を提示した段階であって、それは前にも書いた2018年の小林製薬の発表と同じレベル。呼吸器分泌物を模した「ムチンタイプIS 100μL、BSAフラクションV 25μL、酵母エキス35μL、すべてSigma-Aldrich」と混ぜて調べた点は新しいかもしれないが、実際のヒトの口腔内とはやはり異なる環境なので、臨床試験をしないと結論は出ないだろう。

この論文で言及されている臨床試験計画は現時点ではまだ患者を受け入れていないようだ。
https://clinicaltrials.ucsf.edu/trial/NCT04409873
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04341688
この計画を見ると臨床試験のためにはきちんと対照群を設定するよう計画されていることがわかる。羽曳野の「研究」とはえらい違いなのでこんなリンクを含んだ論文を紹介することは自らの立場を不利にする効果しかない気がする。

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