人工衛星や彗星の位置をStellariumで表示する
ICESat-2やDaqi-1衛星が照射するレーザ光の観察については下記投稿に移動しました。https://apnea3.blogspot.com/2024/06/icesat2.html
Launch: 2023-08-22 06:04:00 UTC.
Deployment: 2023-08-22 07:06:32.440 UTC.
Backup Launch Opportunity #1
Starlink G7-1B1 Pre-Launch
(Starlink-G7-1B1 Pre-Launch RMS Data)
Launch: 2023-08-22 06:54:40 UTC.
Deployment: 2023-08-22 07:57:12.440 UTC.
Backup Launch Opportunity #2
Starlink G7-1B2 Pre-Launch
(Starlink-G7-1B2 Pre-Launch RMS Data)
Launch: 2023-08-22 07:45:20 UTC.
Deployment: 2023-08-22 08:47:52.440 UTC.
Backup Launch Opportunity #3
Starlink G7-1B3 Pre-Launch
(Starlink-G7-1B3 Pre-Launch RMS Data)
Launch: 2023-08-22 08:36:00 UTC.
Deployment: 2023-08-22 09:38:32.440 UTC.
Backup Launch Opportunity #4
Starlink G7-1B4 Pre-Launch
(Starlink-G7-1B4 Pre-Launch RMS Data)
Launch: 2023-08-22 09:26:40 UTC.
Deployment: 2023-08-22 10:29:12.440 UTC.
こんな風に予備のスケジュールが#1~#4まで4セット組まれていて正規の時刻より後ろにずれることはよくあります。天候のため日付がずれることもあります。
SpaceXのサイト
https://www.spacex.com/
のUpcoming Launch からWatchボタンで打ち上げのライブ配信サイトで最新の情報が表示されるので、 予定時刻候補のうちどの時刻で打ち上がったかがこのサイトから確認できます。 ライブ配信を見ていれば衛星フェアリングが分離して積層状態のスターリンクが 宇宙にさらされるところまで映像で確認できます。
例えば「Backup Launch Opportunity #3」で打ち上がったことがわかったら
Celestrakの「Starlink G7-1B3 Pre-Launch」の文字をクリックします。
これがリンクになっていて開くとこのような文字が表示されます。
STARLINK-G7-1B3 STACK
1 72000C 23124A 23234.40176435 .00097766 00000+0 25497-3 0 02
2 72000 53.0524 189.3225 0007370 250.5403 116.9466 15.94146148 13
STARLINK-G7-1B3 SINGLE
1 72001C 23124B 23234.40176435 .00657004 00000+0 16964-2 0 08
2 72001 53.0523 189.3225 0007464 249.6402 117.8471 15.94145389 17
これが予報された衛星の軌道要素ですが実は必要なのはこのページのURLです。
https://celestrak.org/NORAD/elements/supplemental/sup-gp.php?FILE=starlink-g7-1b3&FORMAT=tle
これは先程のリンクを右クリックして「リンクのアドレスをコピー」とやっても構いません。
これが分かれば無料のプラネタリウムソフト「Stellarium」にこのURLをセットして人工衛星の位置を表示できるようになります。
Stellariumをインストールして使えるようになったら「Alt-Z」で人工衛星プラグインの設定画面を出します。
「出典」タブに軌道要素の配布元URLを自由に追加できるようになっているので「配布元の追加」アイコンを押し、先程コピーしたURLを貼り付け、保存アイコンをクリックします。すると上の画面にURLが追加されるのでそのURLの左にあるチェックボックスをチェックします。
「設定」タブに切り替えて「すぐに更新」ボタンをクリックするとすべての衛星の軌道要素が最新のものに更新されるとともに新しい衛星が2個追加されたことが表示されます。
「人工衛星」タブに切り替えて左上のフィールドに「G7」と手入力すると
STARLINK-G7-1B3 STACK
STARLINK-G7-1B3 SINGLE
の2つが表示されます。どちらでも構わないのでクリックして「軌道を表示」にチェックしておきます。また、衛星の色、軌道の色を画面下の灰色四角のアイコンで変更することもできるので好きな色をつけておけば分かりやすいかも知れません。
で、この衛星の名前をダブルクリックすると衛星が選択され、中央に表示された状態になります。時刻を早送りすれば朝夕に地平線より上に昇ってくるタイミングを探すことができます。日付時刻を表示し、時間をクリックして上下矢印で大まかに動かすと探しやすいでしょう。
当然のことですが、低軌道衛星を見る場合地上の位置が変わると見かけの方向も大きく変わるのでStellariumを使う際は自分の所在地を設定しておく必要があります。画面左に表示されるパネルの一番上に観測地を設定するアイコンがあります。設定すると通常画面の左下にその地名が表示されるようになります。
衛星がどのあたりを通過するかによって見える方向は大きく変わり時刻も少しズレてくることがわかります。どこかで天頂を通る予報が出ていたとすると、そこから280kmほど離れた場所からはみかけの高度が45°までしかあがらないといった具合です。
通過時刻も重要です。今の時期だと20時台ならOKだけど19時台だと明るすぎて見えづらいなど薄明との関係もあります。これは経度にもよるので一概には言えません。双眼鏡を使えば見えるとか望遠レンズで撮影すれば写ったりとか条件により様々です。
なお、 Pre-Launchの軌道要素はあくまでも仮のものです。打ち上げ後しばらくして衛星個々の軌道要素が確定すると正式なURLが発表され、こちらをStellariumにセットするとすべての衛星の位置が表示されるようになります。
例えばStarlinkG6-10(冒頭の動画のグループです)は下記ページの上から3行目のリンク
Latest SupGP (TLE) Data
https://celestrak.org/NORAD/elements/supplemental/sup-gp.php?INTDES=2023-122&FORMAT=tle
に全衛星の個々の軌道要素が含まれています。最新の軌道要素が発表されたならStellariumにセットしたPreLaunchのURLは削除してそのURLに置き換えてください。
衛星は目標軌道に向かって常に電気推進で個々に移動しているため軌道要素は常に変わってゆきます。Alt-Zで衛星プラグインの設定タブを開いて「すぐに更新」をクリックしたのち位置を表示するようにしましょう。
Starlink Group7-1は無事打ち上げられ衛星の配備も完了しました。
個々の衛星の軌道要素も確定したようでT.S. KelsoさんのTwitterアカウント(@TSKelso)で最新情報の告知がありました。
メッセージの最下行のリンクをクリックするとメッセージの画像のページが開きます。
必要なのは赤丸で囲んだURL情報です。このURLはこのグループの衛星すべての最新の軌道要素が含まれたテキストになっており内容は随時更新されます。
Stellariumで人工衛星の軌道が表示できると、太陽や月と人工衛星が重なる位置や時刻が予報できるようになります。例えば2023-07-21夕方の西空に月がありその上をStarlink衛星群が通過することがわかりました。倉敷市からはそのような位置関係ですが、300km弱の高さで飛んでいるStarlink衛星は観測場所を東に移動すれば相対的に見かけの高さが低くなり月と重なるかもしれないことが直感的に予想できます。実際Stellariumの観測地設定で経度、緯度、時刻を微調整すると軌道が月と重なる場所が赤磐市辺りにあることがわかりました。重なるという条件だけなら観測地候補は直線上に分布し幅があるのですが仕事が終わって駆けつけられるには高速のIC近く、民家から離れていて車が停められて機材を設置できそうな場所となるとかなり限られます。GoogeleMapで探すとこのときは格好の場所が見つかりました。
ICESAT-2の照射するレーザー光を見る方法
2023-11-07追記Starlink以外にも観察対象として興味深い人工衛星があります。
Stellariumに彗星や小惑星の軌道要素を読み込む方法
「スパナ」アイコン
「環境設定」ウインドウ
「プラグイン」ボタン
「太陽系エディター」
「設定」ボタン
「太陽系小天体」
「太陽系天体」タブ
「MPCフォーマットで軌道要素を取得」ボタン
「データを取得」ウインドウ
「オンライン検索」タブ
フィールドに「C/2023 P1」と手入力し「ルーペ」ボタン
「データ取得」ウインドウ
□ C/2023 P1 (Nishimura)と表示されているはずなので□にチェックを付け
「天体の追加」ボタン
以上で検索アイコンから「C/2023 P1」を探して表示できるようになります。
軌道要素がセットされれば天文計算ウインドウ[F10]の「天体暦」で日々の位置の推移を描画することもできます。彗星の場合は尾の向きも表示されます。
2023-09-07早朝、D=107mmF6屈折+ASI1600MMPro+赤フィルタによる撮影
尾が螺旋状の構造をしているように見えます。彗星核が自転しつつダストを放出していることが伺えます。
2024年5月 アストロスケール社のデブリ除去実証衛星ADRAS-J
ちょうど観測しやすい位置を連日可視通過するようで、特に5/2には網状星雲の前を通ることが分かったので中心位置を定めて撮影してみました。
2024年6月 月の軌道の内側まで地球に接近した小惑星「2024MK」
彗星と同様、小惑星もオンラインで検索、追加して表示することができます。
手順は彗星のときと全く同じです。
「スパナ」アイコン
「環境設定」ウインドウ
「プラグイン」ボタン
「太陽系エディター」
「設定」ボタン
「太陽系小天体」
「太陽系天体」タブ
「MPCフォーマットで軌道要素を取得」ボタン
「データを取得」ウインドウ
「オンライン検索」タブ
フィールドに「2024MK」と手入力し「ルーペ」ボタン
「データ取得」ウインドウ
□ 2024 MKと表示されているはずなので□にチェックを付け
「天体の追加」ボタン
以上で検索アイコンから「2024 MK」を探して表示できるようになります。最接近する2024-06-29の軌道を表示してみると23:30頃にはアルタイルの南にいて長時間撮影しやすいことがわかったので準備していたのですが天候が悪く撮影はできませんでした。
「Heavens-Above」でスターリンクの予報を確認する
Stellarium以外にも簡便に人工衛星の可視通過予報を確認する方法があります。人工衛星の予報サイト 「Heavens-Above」https://heavens-above.com